
休日のランチにパスタをつくるような感覚で、ちらし寿司をもっと身近に、もっと楽しく味わおうという新連載「日曜は、ちらし寿司をつくる。」。第4回は上品な味わいの鯛のおぼろ(そぼろ)とシャキシャキの酢蓮が主役を張るちらし寿司を、マイマイ先生こと料理家の真藤舞衣子さんに教わりました。
大型連休には、友達の家族でも家に呼んで昼から飲もうか、なんて機会も多くなる。そこで大人も子供も一緒に楽しめる料理は?と考えると、これが意外と限られてくるもの。そんな時、ちらし寿司はかなり重宝するメニューではある……のだけれど、子供の舌に合わせるとどうしても甘くなりがち。とくにほら、あのピンク色の桜でんぶ!あれが入ると途端におやつっぽくなっちゃって。マイマイ先生、子供も美味しく食べられて、大人にとっては酒のつまみになる、そんなワガママな願いを叶えてくれるちらし寿司ってないですかね?
「鯛のおぼろを使ったちらし寿司なんてどうかしら?私が祖母から教わったつくり方で、我が家のちらし寿司といえばこれ!鯛の切り身からつくるおぼろは、甘さは抑えめで鯛そのものの旨味がぎゅっと詰まっていて、みんなが笑顔になっちゃう美味しさです」(真藤さん)
鯛を使った手づくりのおぼろなんて、それだけでもご馳走だなあ!そこに筍や椎茸の煮物や錦糸卵が加わるときたら、王道のちらし寿司っぽさもあっていいですね。
「色あいも春っぽくていいでしょ?風味や旨味が豊かな具材は、どれも単体でつまめて酒の肴になっちゃう美味しさ。甘酢で漬けたれんこんもいい箸休めになるんです。もちろん寿司飯と合わせて食べれば、春らしい見た目そのままに賑やかで華やかな美味しさ。ね、大人も子供も一緒に楽しめそうでしょ?」(真藤さん)
| ★ 寿司飯 | |
|---|---|
| ・ 米 | 2合 |
| ・ 昆布 | 10g(乾燥) |
| ・ 水 | 360ml(米と同量が目安) |
| A | |
| ├ 米酢 | 大さじ3(*1) |
| ├ きび砂糖 | 小さじ2 |
| └ 塩 | 小さじ2(天然塩 *2) |
| ★ 鯛のおぼろ用 | |
| ・ 鯛の切り身 | 2切れ |
| B | |
| ├ きび砂糖 | 大さじ1 |
| ├ 酒 | 大さじ2 |
| ├ だし | 50ml |
| └ 薄口醤油 | 大さじ1 |
| ★ 味つけ筍用 | |
| ・ 筍 | 180g(小1/2本)(ゆでたもの) |
| ・ 薄口醤油 | 大さじ2 |
| ・ 水 | 210ml |
| ★ 干し椎茸のうま煮用 | |
| ・ 干し椎茸 | 2個(*3) |
| ・ きび砂糖 | 大さじ1/2 |
| ・ 醤油 | 大さじ1/2 |
| ・ 酒 | 大さじ2 |
| ・ 椎茸の戻し汁 | 適量 |
| ★ 酢蓮 | |
| ・ れんこん | 1節(小さめ) |
| C | |
| ├ きび砂糖 | 大さじ2 |
| ├ 塩 | 小さじ1/2 |
| └ 米酢 | 大さじ3 |
| ★ 錦糸卵用 | |
| D | |
| ├ 卵 | 2個 |
| ├ きび砂糖 | 大さじ1 |
| ├ 塩 | 小さじ1 |
| ├ 片栗粉 | 小さじ1 |
| └ だし | 大さじ2(なければ白だし小さじ1、水大さじ1) |
| ・ 太白ごま油 | 適量 |
| 絹さや | 3本(ゆでたものを斜め薄切りにする) |
水、昆布を入れて1時間ほど吸水させた米を炊く。
深めの大皿や大きめのボウルに炊き上がったご飯を移す。ご飯にAをまんべんなくかけて、団扇などで軽く扇ぎながらしゃもじで切るようにご飯をほぐしていく。粘りが出てしまうので、混ぜ返さないようにするのがポイント。湯気が落ち着いたら扇ぐのを止める。

*寿司飯についてさらに詳しい解説は、こちらをチェック
鯛をグリルなどで焼く。冷ましたら骨を取り除き、ざっくりほぐしておく。
フライパンにBを入れて軽く煮立ったら1の鯛を加え、中火で炒め煮する。ヘラで身をほぐすように混ぜながら、水分がなくなるまで煮詰める。


戻した干し椎茸を薄切りする。鍋に椎茸を入れ、ひたひたになるぐらいの戻し汁ときび砂糖、醤油、酒を加え、水気がほぼ無くなるまで煮詰める。
れんこんは2mmほどの薄切りにし酢水にさらしてから、さっとゆでてボウルに入れる。小鍋にCを入れ熱したら、れんこんの上にかける。しばらくしたら上下をかえし、味をなじませる。
筍は5mm幅の薄切りにする。鍋に水と薄口醤油を入れ軽く煮立たせたら筍を加え、薄く色づくまでに含める。

Dをよく混ぜ合わせる。熱したフライパンに油を引き、薄く広げながら焼く。火から下ろし粗熱が取れたら、5mm幅の細切りにする。
皿に寿司飯を広げ、味付け筍と椎茸のうま煮をまばらに置いた後に、鯛のおぼろ、錦糸卵をのせていく。この時、全体にかけるのではなく、適量ずつつまんで置いていくと具材も見えて、色味のバランスもよくなる。さらに酢蓮、ゆでた絹さやをちらして完成。


なんといっても手づくりの鯛おぼろが抜群!ふっくらとしたほぐし身を寿司飯と一緒に食せば、噛むごとに凝縮した鯛の味わいと上品な風味が口いっぱいに広がる。さらに筍の春らしい味覚と椎茸のむせかえるほどの香り、錦糸卵のやさしい甘味が次々と押し寄せる。色とりどりの旨味が口の中で満開になったところで、酢蓮のシャキッとした食感とほのかな甘酸っぱさが、爽やかな風のように通り抜ける。
みんなが思い浮かべる王道のちらし寿司のようでいて、その美味しさは想像を遥かに超えてくる。のせる具材の数は少し多いものの、前の晩から具をつくり置けばあとは寿司飯を炊いて盛り付けるだけ。ちょっとだけ頑張れば、みんなの尊敬を集めること請け合いです!

東京生まれ。会社勤務を経て、京都の大徳寺塔頭(たっちゅう)にて1年間生活。フランスに料理留学後、発酵研究家、料理家の活動を開始。雑誌や書籍、料理教室、講演など多方面で活躍。近著に『サバの味噌煮はワインがすすむ』(小泉武夫氏と共著、日経BP)、『つくりおき発酵料理のアレンジごはん』(主婦と生活社)がある。
文:宮内 健 写真:伊藤徹也