
2026年日本酒dancyu「出会えてよかった! 心ふるえる酒」特集では、dancyuを長年支えてくれている酒のプロや愛飲家の皆様に、個人的な推し酒をジャンルレスに聞いてみました。いずれも「ぜひ飲んでみて!」と推薦者が熱く語ってしまうチャーミングな酒ばかり。 今回は、千葉県船橋市「矢島酒店」矢島幹也さん、東京都品川区の「利田屋(かがたや)」直井一成さん、気鋭の酒販店のお二人が熱烈推薦する、広島県呉市の「宝剣」をご紹介します。
推す理由はただ一つ、蔵元杜氏・土井鉄也さんの生き様に惚れ込んでいるから。土井さんは20年以上にわたり、「わが道を行く」酒造りを貫いています。
酵母や麹を変えて流行の味を追いかけることは簡単かもしれない。けれどもあえて変えず、ただ自分の理想を追い続ける。その姿勢に魂を揺さぶられます。昨年9月に蔵を訪ねたとき、目の前に仕込みを控え「眠れない」と言っていました。納得のいく酒を造りたい、でもゴールは見えない。その言葉に、土井さんのストイックさが凝縮されていました。
50歳にしてキックボクシングの大会では20代選手をなぎ倒し、酒コンペでの優勝を機に10代からの夢だった黄色いフェラーリを手に入れ、さらには大型バイクまで乗りこなす。何事にも妥協せず、頂点を目指し続けるその姿勢は、同じ男として憧れずにはいられません。
そんな土井さんが全身全霊で醸す「宝剣」。一口飲めば、その挑戦と情熱が確かに伝わってきます。


ザ・職人。
まさに命を削った、全集中の酒造り。
道を極めるその姿勢。ラストサムライ。
男の中の男。土井鉄也、国宝です。


撮影:エレファント・タカ