
グラスを近づけた瞬間、麦の芳ばしいロースト感が大バクハツし、一口飲めば、濃厚なコクと甘味が全身にガツンと突き抜ける。そんな麦のポテンシャルを限界突破させたパワフルな麦焼酎を、dancyuは「麦麦(バクバク)焼酎」と命名。まずは、麦麦焼酎を語る上で避けては通れない「麦麦焼酎四天王」の中から、麦麦シーンを語る上で欠かせない「麦冠 情け嶋」をご紹介します。

子供の頃の夏休みを思い出してほしい。青空、太陽、入道雲、そして喉を潤すキンキンの麦茶。あれから時が経ち、今の私たちが求めているのは、喉だけでなく魂まで沁みわたる「大人の麦茶」ではないだろうか。dancyuは今年、12年ぶりに麦焼酎を本気で掘り下げる。狙うは芳ばしさが口内で大爆発する「麦麦焼酎」だ。この熱狂を形にすべく、米米ならぬ「麦麦CLUB」を結成し、識者6名でいま飲むべき麦麦焼酎を語り尽くす濃い?試飲会を敢行した。まずは、麦麦シーンの歴史を切り開いた「麦麦四天王」から。2000年に大分・四ッ谷酒造の「兼八」が登場して麦麦焼酎の歴史が幕を開け、2004年、宮崎・柳田酒造の「青鹿毛」と、東京八丈島・八丈興発の「麦冠 情け嶋」がデビューし、麦麦シーンを席巻。そして、2022年に、宮崎・尾鈴山蒸留所の「山猿 銅釜蒸留」が大革命を起こした。
今回紹介するのは、麦麦のアイランド・テロワール「麦冠 情け嶋」。その味わいとは?

小料理店「かまびす」 チーママ・飲料担当
蒸留酒と小料理がテーマの清澄白河「かまびす」で飲料を担当。焼酎を表すワードセンスは随一。 昨年の「香り焼酎」企画でもテイスターを務めた。

「エシカル・スピリッツ」蒸留家
酒粕の再蒸留など、廃棄素材を再利用してクラフトジンを製造するエシカル・スピリッツ取締役。発酵と醸造の造詣も深く、多角的な分析力に秀でる。

酒屋「内藤商店」四代目
1912年に創業し、日本酒や焼酎など約5000銘柄を扱う酒屋の四代目。ワインやテキーラに関する資格を保持し、幅広い知見を持つ。

「焼酎Bar 秘蔵」店主
全国から焼酎ファンが訪れる押上のバー「秘蔵」店主。定番から新酒、希少なものまで約1300銘柄を揃え、圧倒的な情報量を誇る。

「鳥酎 神田大手町」店長
最注目の“焼酎愛スゴい若手店長”。彼が率いる「鳥酎 神田大手町」は、ただ飲む場所ではなく、焼酎の深みに触れられる社交場でもある。

「居酒屋 Hana」店主
繊細な創作料理と緻密なペアリングで食通と酒好きを唸らせ続ける大塚の名店主。日本酒とワインのみならず焼酎の知識量も凄まじい。

焼酎といえば九州勢が圧倒的知名度を誇る中、「日本を代表する麦焼酎を、ここ八丈島から送り出す」という熱き意志をその名に冠した「麦冠 情け嶋」。蔵元の小宮山善友さんは「芳ばしい麦焼酎の入門編」と位置づける。穀物らしいコクがありながら食事に寄り添うやわらかさ。その秘密は、繊細で高度な濾過技術と、東京島酒の麦焼酎に特有の「ビサボロール」という香気成分にあるという。「草木のように爽やかなこの香りがあるから、濃いのにやわらかい飲み口の焼酎になる」と小宮山さんは語る。

焼酎に含まれる油は高級脂肪酸といい、コクや風味を形成する大切な成分。だが、油なので酸化の原因にもなる。小宮山さんは原酒を冷却して適度に油を濾過しつつ、必要な分を残して酒に溶け込ませ、酒質を調整する。







この夏は、ぜひ麦麦焼酎を! ガツンと旨い肉中華が抜群に合います。

文:佐々木香織 撮影:大志摩徹、伊藤菜々子(人物)