
旬の秋なすと栄養価の高い木の実を使ってピリ辛に仕上げた、医食同源ちらし寿司! 休日のランチにパスタをつくるような手軽さで、ちらし寿司をもっと身近に、もっと楽しく味わおうというこの連載。第28回は「焼きなすと木の実のちらし寿司」を、マイマイ先生こと料理家の真藤舞衣子さんに教わりました。
長雨が続き、気温の変化も激しい季節の変わり目には体調を崩しがち。こんな時季には、身体にやさしくて栄養価の高い(そして、もちろん美味しい!)料理で体調を整えたいもの。
「それなら、旬の秋なすを使ったちらし寿司はいかが? 夏と比べて秋のなすは皮がやわらかくて甘味が強く、油を使った料理との相性が抜群。これを胡麻油と醤油で香ばしくグリルします。そこに合わせるのは、松の実とクコの実。松の実は“不老長寿の仙人食”という異名をもつほどに、良質な不飽和脂肪酸やビタミンE、亜鉛、鉄分など様々な栄養素がギュッと詰まっています。そしてクコの実もβ‐クリプトキサンチンやβカロテン、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノールなど多くの栄養素を含んだスーパーフード。ここに生姜やパクチー、ラー油を加えて、ピリ辛な薬膳風ちらし寿司に仕上げます」(真藤さん)
あれっ、今回のちらし寿司には肉や魚を使わないんですか?
「そうなんです。焼きなすと木の実がメインのちらし寿司。だけど、味わいも食べごたえも満足度が高いですよ!」(真藤さん)
| なす | 3本 |
|---|---|
| 生姜 | 1片(千切り) |
| パクチー | 1茎 |
| 松の実 | 大さじ2 |
| クコの実 | 大さじ2 |
| 胡麻油 | 大さじ1 |
| 醤油 | 大さじ1/2 |
| ラー油 | 小さじ1 |
| ★ 寿司飯 | |
| ・ 米 | 1合 |
| ・ 昆布 | 5g(乾燥) |
| ・ 水 | 180ml(米と同量が目安) |
| A | (*1) |
| ├ 赤酢 | 大さじ1.5 |
| └ 塩 | 小さじ1(*2) |
*1 Aはよく混ぜておく。
*2 天然塩は小さじ1、食塩は塩味が強いので半分の量から調整するとよい。
水、昆布を入れて1時間ほど吸水させた米を炊く。
深めの大皿や大きめのボウルに炊き上がったご飯を移す。Aをよく混ぜてご飯にまんべんなくかけ、団扇などで軽く扇ぎながらしゃもじで切るようにご飯をほぐしていく。粘りが出てしまうので、混ぜ返さないようにするのがポイント。湯気が落ち着いたら扇ぐのを止める。
*寿司飯についてさらに詳しい解説は、こちらをチェック
なすは輪切りにする。熱したフライパンに胡麻油を入れて、なすをグリルする。両面に焦げ目がついたら火を止め、醤油を回しかけて味を馴染ませる。
寿司飯を皿に広げて、2のなすを満遍なくのせる。生姜は寿司飯が見えるところに少量ずつ置いていく。松の実とクコの実を全体に散らし、パクチーは葉先を千切りながらのせていく。仕上げにラー油を回しかける。


実に旨そうな焼き色がついたなすは、油の照りとツヤが食欲をそそる。その上にのったクコの実の赤とパクチーの緑が映える。
胡麻油と焦げた醤油の香りを纏った焼きなすはトロッとした食感で、松の実のまろやかな油分とクコの実のやわらかな甘酸っぱさが、やさしい甘味のある赤酢の寿司飯といい相性をみせる。そこにパクチーや生姜の爽やかな風味と、ラー油の心地よい辛味が加わって、中華料理のようなアジア料理のような、それでいてどこか懐かしさを感じる味わいに着地している。
旬の野菜と栄養価の高い木の実をメインにした、食べるほどに心身ともに整っていく気がする“医食同源”なちらし寿司。困ったことに、これがまたビールやハイボールを欲する旨さなのだ。まあ、「酒は百薬の長」とも言いますしね。
「寿司飯を白米ではなく玄米や五分搗き米に置き代えてつくれば、より健康志向なちらし寿司になりますよ。その際も酢と調味料は同じ分量でOKです!」(真藤さん)
胡麻油や木の実の油分で食べごたえはしっかり。だけど、どこか食後感は軽やかな「焼きなすと木の実のちらし寿司」で、美味しく楽しく季節の変わり目を乗り切りましょう。


東京生まれ。会社勤務を経て、京都の大徳寺塔頭(たっちゅう)にて1年間生活。フランスに料理留学後、発酵研究家、料理家の活動を開始。雑誌や書籍、料理教室、講演など多方面で活躍。近著に『サバの味噌煮は、ワインがすすむ』(小泉武夫氏と共著、日経BP)、『つくりおき発酵野菜のアレンジごはん』(主婦と生活社)がある。
文:宮内 健 写真:伊藤徹也