じゃがいも殿堂レシピ
【この食感、未体験ゾーン! 口溶けふわふわニョッキ①】ノーブルで繊細なニョッキをリッチなバターで味わう贅沢!「セージバターソースのニョッキ」

【この食感、未体験ゾーン! 口溶けふわふわニョッキ①】ノーブルで繊細なニョッキをリッチなバターで味わう贅沢!「セージバターソースのニョッキ」

こんな繊細なニョッキは初めてだ! ふわふわと柔らかく、口に入れると砂糖菓子のように儚くほどけて消え、後にじゃがいもの香りがふわりと広がる。芋好きを虜にするこのスペシャルなニョッキ2皿を、東京・世田谷のイタリアン「igora」の坂井務シェフに教えてもらいました。一皿目は「セージバターソースのニョッキ」です。

教える人

坂井 務さん「igora」オーナーシェフ

坂井 務さん「igora」オーナーシェフ

福岡県出身。都内のイタリア料理店で経験を積み30歳で渡伊。フリウリなど北イタリアを中心に腕を磨く。料理教室も不定期開催。

軽やかな食感の秘訣は、粉を最低限にして決してこねないことです

セージバターソースのニョッキ
ニョッキはじゃがいもでつくるイタリアのショートパスタ。ふんわりとろける食感になるよう生地をやさしくまとめたら、まずはセージが爽やかに香るシンプルなバターソースで味わってみよう。

ふわふわ、しゅわ〜。「igora」のニョッキは夢の味だ。赤ちゃんのほっぺのように柔らかく、噛むとエアリーにとろけていく。舌に広がるのはじゃがいものピュアな甘味。こんな恍惚の境地があったなんて。

「じゃがいもからつくるニョッキはもちもち感が魅力ですが、実はそれが好きではなくて。ふんわり口溶けをよくしたいと、失敗もしながらブラッシュアップさせてきました」
そう振り返るのは坂井務シェフ。完成させたレシピは、取り扱い注意の札をつけたいほど繊細。皿に盛るまで一つとして気が抜けないという。
「生地づくりで大事なのは粘りを出さないこと。じゃがいもは粉質系の男爵やキタアカリなどがマストですね。メークイン系だとほろっとした食感にならないんです」

材料の混ぜ方にもコツが満載だ。極意はズバリ、「練らない」。潰したじゃがいもに薄力粉を入れたらそっと動かすようにしてなじませ、その後もこねない。ならば、どうやって生地にまとめるかというと、代わりに導入されたのは“重ね押し”の技。「生地を半分に切ったら重ねて上から優しく押す。4〜5回繰り返すと粉気がなくなりますよ」

成形もソフトタッチが基本。すべてを玉状にしたら後はゆでるだけなのだが、ここにも注意点が。
「大きい深鍋にたっぷり湯を沸かすこと。小さいとニョッキ同士がぶつかって崩れてしまいます。火加減は湯の表面が揺らぐ程度。グラグラ沸いたところに入れると崩れやすく、溶けてしまうこともあるんです」
ゆですぎも禁物で、プカプカと浮かんできたら素早くすくい取るべし。湯気の上がるぽにょぽにょのニョッキはそれだけで食欲をそそるが、おいしさを最大限に引き出すにはソースも重要だ。

坂井さんが教えてくれたのは2種類。一つ目は北イタリア伝統のセージバターソースだ。バターとパルミジャーノチーズのコクがじゃがいもの甘味を引き立て、爽やかなセージの香りもふんわり食感にぴったり。もう一つの椎茸ソースは、椎茸の濃厚な旨味と香りでニョッキが秋の味わいに。どちらもシンプルゆえに、軽やかさや口溶けが際立つのだ。

坂井さんのニョッキは決して気楽にはつくれないけれど、手塩にかけた先に待つのは未体験の新食感。じゃがいも好きもイタリアン好きも、みんなにつくってほしい!

粘らせず、崩さず、細心の注意を払う。すべては”新感覚ふわふわ食感”のため!

基本のニョッキのつくり方

材料材料 (約45個分)

じゃがいも300g(キタアカリまたは男爵)
卵1個
塩3g(細粒)
薄力粉40g
打ち粉適量(薄力粉)

1じゃがいもを静かにゆでる

鍋にじゃがいもとじゃがいもがかぶる深さまで水を入れて強火にかける。沸いてきたら湯の表面が揺らぐ程度に火を弱め、そのまま40〜50分ゆでる。竹串などを刺してスーッと通ればOK。

じゃがいもを静かにゆでる

2熱いうちにマッシュする

ザルに上げて粗熱を取ったら皮をむいてしっかりマッシュする。冷めると潰すときに余分な力がかかって粘りが出るので、必ず熱いうちに作業すること。素早くなめらかに潰すためには写真のようなマッシャーがあるとベスト。すべてマッシュしたら人肌より少し温かい程度まで冷ます。

熱いうちにマッシュする

3卵液を加え、優しく混ぜる

卵を溶きほぐし、塩とともに②に加える。じゃがいもに粘りが出ないようゴムベラなどで優しく混ぜる。

卵液を加え、優しく混ぜる

4粉をふり、そっと混ぜる

生地の全体にかかるように薄力粉をふり入れ、そっと動かすように粉を含ませる。この段階では粉気が残っていてもよい。

粉をふり、そっと混ぜる
粉をふり、そっと混ぜる

5重ねて押すように混ぜる

生地を半分に切って重ね、上から優しく手で押さえる。こうすると粘りを出さずに薄力粉を混ぜ込むことができる。これを4〜5回繰り返す。

重ねて押すように混ぜる
重ねて押すように混ぜる

6まとめて4分割する

丸くまとめて打ち粉用の薄力粉を軽くふり、4等分にする。

まとめて4分割する
まとめて4分割する

7コロコロに成形する

コロコロに成形する
麺台に打ち粉をして6 で4等分にしたものを置く。指先でそっと形を整えながら細くのばし、直径1.5cmほどの棒状にする。
コロコロに成形する
カードまたは包丁で幅1.8cmほどに切り分ける。
コロコロに成形する
一個ずつ軽く手のひらで転がして角を取る。一個の重さは7g前後が目安。大きすぎると崩れやすく、小さすぎるとふんわり感が出ないので重さも確認しよう。同じ要領で生地のすべてを成形する。

8クッキングシートに並べる

バットにクッキングシートを敷いて打ち粉をし、成形したニョッキを間隔をあけて並べる。ゆでるまではラップをして冷蔵庫へ。この状態で2〜3日は保存できる。

クッキングシートに並べる

セージバターソースのニョッキのつくり方

ニョッキのおいしさを最大限に引き出すソースの筆頭は、このシンプルなセージバターソース。ニョッキと芳潤なバターソースは相性抜群。口の中でほろりと崩れた後、かすかに残るじゃがいもらしいザラッとした食感にバターがからみ、舌を飽きさせない。

材料材料 (1人分)

ニョッキ15個(上記参照)
バター 30g(食塩不使用)
パルミジャーノチーズ10g(すりおろす)
セージ4枚(葉のみ)

1バターとセージを火にかける

フライパンにバターとセージを入れて中火にかける。バターが溶けたら表面がふつふつ揺れるくらいに火を弱め、フライパンを揺すりながらセージの香りを移す。1分ほど加熱したら水30mlを注ぎ、フライパンを揺すって乳化させ、火を止める。

バターとセージを火にかける

2ニョッキをゆでる

大きい深鍋に湯を沸かして1%の塩(分量外)を加える。十分に沸騰したらニョッキをそっと入れる。①を火にかけてソースを温め、ニョッキが浮いてきたら穴あきお玉で優しくすくい取って①に入れ、火を止める。

ニョッキをゆでる

3ソースをからめる

フライパンを揺すってソースをからめる。パルミジャーノチーズを加え、スプーンなどでそっと転がしながら和えたらすぐに皿に盛る。ニョッキの食感は刻々と変わるので手早く作業しよう。

ソースをからめる

軽やかな料理が光る気鋭イタリアン

坂井さんが目指すのは食後も体が軽いイタリアン。日本各地から届く食材を生かした料理は、繊細で優しく独創的。アラカルトも多彩でナチュラルワインと気軽に楽しめる。

店内
カウンター席は居心地抜群。
料理
手打ちパスタにも定評があり、写真は人気メニューの“トロフィエ 猪と春菊のラグー”。

店舗情報店舗情報

igora
  • 【住所】東京都世田谷区奥沢6‐22‐10
  • 【電話番号】03‐5760‐6176
  • 【営業時間】18:00〜21:00(L.O.)
  • 【定休日】水曜 他に不定休あり
  • 【アクセス】東急大井町線「九品仏駅」より3分
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
ホクホク、シャキシャキ、サクッ、とろ~り。切り方や調理法でガラリと食感が変わり、食いしん坊を惹きつけてやまない、定番野菜の絶対的王者。それがじゃがいも! 圧倒的な旨さに食卓がどよめく、殿堂入りの68レシピをお届けします。

文:上島寿子 撮影:鈴木泰介

上島 寿子

上島 寿子 (文筆家)

東京生まれで、銀座の泰明小学校出身。実家がビフテキ屋だったため、幼少期から食い意地は人一倍。洋酒メーカー、週刊誌の記者を経て、フリーに。dancyuをはじめ雑誌を中心に執筆しています。

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