
シェフがもし家で酒場を開いたら、どんなつまみを出すのだろう……。という妄想でスタートしたdancyuWEB連載「ようこそ!俺酒場」が、dancyu2026年夏号に登場。『田舎の大鵬』渡辺幸樹シェフに俺酒場メニューを5品考案していただきました。
店名に偽りなしの“田舎”である。京都府北部に位置する綾部市の里山、森と一体化するように「田舎の大鵬」が佇む。
誌面でもおなじみ、京都・二条の老舗中華「大鵬」の二代目として活躍していた渡辺幸樹さん。かねてから交流のあった養鶏家の拠点である綾部の環境に魅せられ、2021年に移住を果たした。


やがて始まったのは、鶏や豚を飼い、米や野菜を育てる日々。自身の店でも、食と農が隣り合わせだ。ゲストが到着したら、鶏を絞めるところからもてなしが始まる。スペシャリテである鶏の火鍋は、生薬をふんだんに使った滋味深い薬膳鍋。さっき目の前で命を終えた親鳥の肉や内臓を、鍋のスープでしゃぶしゃぶに。深い旨味をたたえたもも、シャクッとして清らかな味わいの腸……。頭や胴ガラ、足先まで余すところなくスープとなり、命のすべてをいただく。美味の向こう側にある、鮮烈な食体験に心が震える。


今回の妄想酒場でも、軸となる食材は鶏。といっても、「家庭なら、スーパーで手に入る普通の鶏肉で十分。締めまでぜひつくってみてください!」。



文:本庄 彩 撮影:エレファント・タカ